- 作者: 水谷驍
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2006/06/10
- メディア: 新書
- 購入: 4人 クリック: 53回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
今年に入ってから、フランスのサルコジ大統領が国内にいるジプシーをルーマニアに強制送還した揚句、欧州連合がこの行為を問題視して法的措置を取ろうとするなど、何かと話題なジプシー。私が好きなマヌーシュ・ジャズも、バルカン・ブラスもジプシーの音楽、というわけで、改めてこの本を読んでみた。読まなきゃって気持ちが流行って、気が付いたら手元に2冊もあるんだもの。
本によると、「ジプシー」への差別的感情は、あくまでも昔出たグレルマンのジプシー論が、恣意的な内容にもかかわらず、科学的なものとして長く学術界で認められてきた結果であり、これが今の世界におけるジプシー像となって定着しているようだ。
この本を読んで、「ジプシーは差別語だからロマで」という言い換えが安易なんだ、ということがわかった。ロマという言い換えは、1971年に行われた第一回世界ロマ会議でのことだったという。がこのロマという単語、ロマニ語で男とか人とかいう意味を指す単語の複数形なのだが、同時にルーマニアに暮らし、自らを「真のロマ」とするヴラフ系ロマの総称でもある。だから、他のエリアに暮らすジプシーたちは、自分たちの呼称として敢えて「ロマ」という単語を使わないそうなのだ。だから、地理的にざっくり区切って表現すれば、フランスあたりのジプシーはマヌーシュだし、イギリスじゃロマニチャル、スペインのヒターノ、ドイツ語圏のシンティとなるわけだ。
ジプシー社会は、想像を超えた複雑さであった…。
さて、オランダ出身の我が愛しのJimmy Rosenbergは、子供の頃Sinti(シンティ)というバンドを結成していた。アイデンティティを示したのかしら。フリントストーンのテーマが、こんな洒脱な感じになっている!
サラサーテの「チゴイネル・ワイゼン」。Zigane(ツィガンorジプシー)の旋律という意味がある。
日本にてのジプシーって、これが思い浮かぶ。ここで描かれるジプシーは、エキゾな人たちってところでしょうか。