- 作者: 松本清張
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1971/02/23
- メディア: 文庫
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主人公の禎子は、広告代理店に勤務する鵜原憲一と見合い結婚した。憲一は、今までは金沢で20日、東京で10日を過ごす暮らしをしていた。禎子との新婚旅行が終わってから、憲一は金沢へ旅立ち、そのまま姿を消した。
禎子は金沢へ向かうが、夫の行方を調べるうちに、思いがけない夫の過去に突き当たるのであった…。
禎子は憲一の会社の同僚である本多の力を借りながらも、金沢で積極的に人に会い、良い推理をしていく。推理小説としてすごく緻密とはいいがたいかもしれないけれども、冒頭部分から伏線がうまくはられていて、どんどん物語に引き込まれていった。憲一がかつて巡査として働いた東京のある場所は、太平洋戦争がもたらした影響で、今とは異なる様子をみせており、そこでの暮らしを経て今を生きる女たちは、その過去を隠したいと願っている。そんな思い故に起きた悲劇を描いたサスペンス、ともいえよう。
以下は、初めてこの小説が映画化された際の予告編。なんと松本清張ご本人まで登場している。当時の情景もこんな感じだったのだろうか。